和製ラスプーチンの言い分

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

yagiyoさんのオススメにて、早速読んでみました。
鈴木宗男氏と外務官僚が逮捕された顛末を、その当事者の外務官僚が自らの視点で書いたノンフィクション。
この事件、マスコミが報道する内容だけで解釈するに、「ムネヲはとんでもねぇダーティーな野郎だな、それに、やっぱり役人ってぇのはイケスカネー」程度の認識しか持ってませんでした。ザマーミロっ!と。
これが、別の視点から描かれているワケで、なるほど、ソッチにゃソッチのそうした背景があったワケかいな。と、認識を新たにできる興味深い内容でした。

正直、読み進めてしばらくは、筆者が自分の信念を正当化する(アタシャ個人の利益なんざぁ一切追求してません。すべては国益のため、男気持って事を進めてただけでございます。ってな)内容が鼻につき、シャラクセー!的に読み進む速度も上がりませんでした。
が、当時外務大臣に就任した田中真紀子女史とのバトルや、個人的に非常に気がかりだった『ムネヲハウスはなぜあんなにもミスボラシイのか?』といった疑問に対する謎も解け、さらには、全く知識を持ち合わせなかった検察・特捜の仕事の進め方なども、一方的な視点ではあるものの、その一部を垣間見ることができ、満足な内容でした。

キーとなる、『「ケインズ型公平配分政策」から「ハイエク型傾斜配分」への転換』。
これを私は、旧来自民党が得意とした、地方の農林水産業過剰保護や地場土建産業への利益誘導を基本とする票集め体制から、浮動票の多い都市生活者の票集め重視への転換と読み替え、勿体ぶりつつも明かされなかった黒幕の存在を勝手に想像して、口の端で笑ってみたりしてました。

漁船銃撃拿捕事件*1やらサハリン2建設中断やらと、ここ最近何かと騒がしい対露外交ネタ。果たしてムネヲが退いたツケなのか?描かれたムネヲの姿に興味津々。次は、作中に登場した「悶死-中川一郎怪死事件(草思社)」「宗男の言い分(飛鳥新社)」あたりに手ぇ出してみようかと。

*1:佐藤氏自身が "FujiSankei Business i."のサイトに持つコラム「佐藤優の地球を斬る」8/24の記事でコメントしてました。